29(承前)

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 タツオは数カ所から黒煙が立ちのぼるジャングルの上空から、初めての戦場を見おろしていた。人の命を奪うのはこんなにもあっけなく簡単なものなのか。しびれるような3Dホログラフの身体のなかに感覚としてある。  オモイが注意喚起した。 「敵戦闘ヘリきます」  正面ゲートのある東の方角から、四機の戦闘ヘリコプターが編隊を組んで飛んでくる。 「サイコ、あいつを撃ち落としてくれ。全機散開し、それぞれの攻撃目標にむかえ」  サイコの雲山改八機が空にむけ、機関銃の銃身をそろえた。 「落ちろー!」
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