0人が本棚に入れています
本棚に追加
『登録、ありがとうな』
明からのメッセージ。短い言葉に何故か胸がときめく。
小さい頃からずっと一緒にいた幼なじみ。それなのに気が付けば、明と話すときには何だか妙に意識するようになっていた。
いつの間にか変っていた自分の中のもの。それでもその変化はなんだか心地よいものだった。
「さよなら、平成、お疲れ様」
そう夜空に呟いたとき、気恥ずかしさとともに、散らかっていた心の中に、風が抜けたような爽やかさと穏やかさが訪れた。
「美佳ー!早くしなさい!」
母の催促の声がした。ヤバい、あの声は本気で怒る寸前だ。
「聞こえてるよ!」
慌てて窓を閉め、部屋から出る。
新しい時代の幕開けは、ただの日常で、それでも、ほんのちょっぴり特別だった。
【 了 】
最初のコメントを投稿しよう!