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…鏡がある。
「なんか怖ぇえな…。」
近づいてみる。…触れようとするが
「うわぁっちっ!」
熱い。
「…なんだこれ。」
よく見ると、俺の姿すら移ってない。薄汚れているだけで、この部屋すらも…。
「…?」
何か聞こえる気がする。耳を澄ます。
「なんだこの音…声?」
…。
「よくわかんねぇや。」
よく見ると、鏡の縁に花瓶が取り付けられている。花は活けられてない。
「なんだよこの鏡は…。」
後ろに下がり、もう一度部屋を見まわす。
「本棚か…何かあるならあそこか。」
近づく。ボロい本ばっかで読めたもんじゃない。が。
「あれ?これ新しいな。」
…芥川龍之介著・蜘蛛の糸。
「…はぁ?」
あらすじくらいは知っている。本を開く。…紙切れが挟まっていた。
『供養が足りぬ』
「…供養?」
ひとまず置いておいて、本を読む。…特に変なところは無い。
「…普通に読んでたが…これが、何かのヒントなのか?」
さっきの紙切れと合わせて考える。
「…供養とは関係ねぇよな…多分。」
残念なことに教養は持ち合わせていない。
「この部屋には…もう何もねぇか。」
次のドアはある。
「うし、行くか。」
…待合室を出ようとするとき、天井に現れた「大きな目」。
彼は、それには気付けなかった。
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