朝はコーヒーとともに

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「話題を変えるのが上手いわね。まあ、いいわ。時間もないことだし、本題は、ディサナスのことよ」 「ディサナスがどうかしたのか?」 カロリナは軽く頬杖をつくと、片手でカップのフチを撫でながら重々しそうに口を開いた。 「結論から言うと、ディサナスから情報を引き出してほしいのよ、貴方から」 「それはまた妙だな。あれから数カ月経っているから、尋問官か何かがとっくに話を聞いていると思っていたんだが」 先の戦いで、「天使の指」とまで称されるカロリナを極限まで苦しめたディサナスは、戦闘後、なぜか大人しくというよりも自ら進んで投降した。あまりにもあっさりしていたために、素直に協力してくれそうな印象だったのだが。 「ところがそうじゃないのよ。私やシグルド王子も含めて代わる代わる彼女から話を聞き出そうとしたのだけど、重要な情報は全く得られなかった。以前にも増してゲリラ、いえ、反乱軍が各地で騒動を起こしているというのに、私達は彼らの目的すらまだ十分に把握できていない」 「目的はハッキリしてるんじゃないのか? あのアルヴィスという男、元王国軍の人間なんだろ? 解放軍と自ら名乗っていたからカールステッドの王権の奪取が目的なんじゃないのか?」 「ええ。だけど、あのときの彼らの軍はほとんどが魔物だった。仮にあのとき宮殿(ここ)が奪われたとしても、彼らのなかに国をつくるほどの人員はいなかったし、国民を納得できるような王位継承者もいなかったのよ。たとえばだけど、旧王家の生き残りであるシグリッド王子でもいれば別なんだけど」 「シグリッド……王子?」 その名はどこかで聞いたことがある。確かあれはーー。カロリナと瓜二つの顔が浮かんだ。 「仮定の話よ。私もシグリッド王子のことは知ってるけど、とてもそんなことをする方ではないわ。とにかく私達にはもっと情報が必要なの。反乱軍に関するどんな些細なことでも」 「……けど、なんで、僕なんだ?」 「それはこっちが聞きたいわよ。あの子に会うと、必ず貴方と話したいと言うんだから。ねえ、貴方、ディサナスに何かしたの?」 射るような目でこちらを見るその視線に心臓が跳ねたが、もちろん心当たりはない。 「いやいや、あの戦い以降会ってすらいない」 「そうよねー。まあ、とにかく負担を増やすようで申し訳ないけど、早急にお願いするわ」 「早急にって今から?」 「ええ、当たり前じゃない」
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