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「俺ね、平成生まれじゃないっすか。それだけで、本当は違うのに、『これだからゆとりは』とか、『近頃の若者は』って言われちゃうんですよね」
『ゆとり世代』とは本来昭和62年4月2日から昭和63年3月31日生まれと定義されている。
「今回の仕事めっっっちゃ頑張ったんですけど、流れちゃって。それは俺の力量が足らなかっただけなんですけど、最後に『本当、ゆとりは使えないな』なんて言われちゃってさ」
困ったように香川は笑った。
「生まれた年は変えられないのにそんな事言われてもね。大体、ゆとりって言われてる人たちだって好きでそうなったわけじゃない」
笑ってはいるが、悔しさが伝わってくる。
正直、いつもヘラヘラした印象しかない香川にこのような悩みがあったなんて意外だった。
それにしても、あぁ、私の悩みはなんて自己中心的で稚拙でちっぽけなものなんだろう。
「香川、ごめん」
「え?謝る事なんか……って」
アルコールで感情のコントロールがうまく効かず、私の両目からは涙が溢れていた。
「何で先輩が泣くんですか」
香川に頭をぽんぽんと叩かれる。
「わ……わかんないけどっ……自分が恥ずかしい……。こどもで悔しい……恥ずかしい……」
「俺は、昭和生まれな先輩の悩みが知れて嬉しいですよ」
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