第1章

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 もし、 炎上していたなら、 私も火傷を負うどころか死んでいただろう。  私は、 頭部からドク、 ドク、 ドク、 ドク……と血液が流れ出し、 顔中ヌルヌルの状態で、 車と同じく上を向いていた。 何時頃だろう? 腕時計を見ようとしたが、 腕にはなく落下の衝撃で飛んでしまったのだ。 周囲を見回りしたが薄暗く、 時間を推測出来ない。  寒さが身を覆っているので、 何とか暖を取れる物を探した。 薄暗い中で、 まだ意識がぼんやりしていたが、 幸い紙袋を見つけ、 少しでも寒さから身を守ろうとして頭から被った。  体中が痛くて意識を失いそうだったが、 その夜は動いて落下した崖を登るのを断念し、 翌朝、 現状を把握することにし、 眠ることにした、 というより寝てしまった。
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