第1章

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エメラルドグリーンが支配する、 抜けるような海で三十メートル程潜水した色、 つまり空が半透明でエメラルドグリーンに近い、 もう肌寒く感じる十一月初旬の晴天の日を選んだ。  全国百二十六台限定車であり、 車体の中心から上はオレンジに近いイエロー、 ボンネットに矢がデホォルメされて描かれ、 下は艶消しのブラックの愛車を使った。  どこを走っていても、 翌日直ぐに、 「君の車を見たよ。 かっこいいなー!」  と言われる程、 良く目立っていた。  マーシャル製二灯の丸い大きなフォグランプ、 ヘッドライトもKoitoに替え、 ミラーも弾丸型サイドミラーにし、 しかも大型のリアーウイングを装着した愛車だ。 その車を転がし、 六甲山頂付近を四度往復して、 やっと格好の場所を見つけた。
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