taraget ターゲット

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 穂積は、 一応、周りを警戒しながらその男に声を掛ける。 「すみません。名前出てこなくて」 「いえ、私達、今日が初対面ですよ? 天童穂積さん」  男は、穂積に、にこりと微笑みかけると そのまま、彼に近付き、腕を思いっきり掴み上げた。 「何するんですか? 離してください」  腕を振り払おうとするが払うことが出来ない。 それどころかどんどん力が強くなる。 「すみません。 それは、できない相談です。 あなたが我々の質問に答えてくれるならすぐでも離しますよ」 「質問ってなんだよ。 いいから離せ。警察呼ぶぞ!」  もう一度、 離せと穂積が朧に向かって叫んだ瞬間、 「朧、 こんな奴になに手こずってんだよ。 お前がやらないなら……」  一夜零が変装を解き、 蜩朧と同じ格好スーツ姿で現れた。 「零。早かったね?」 「お前が遅いだけだろう!」 「お前、 さっきの」  零の顔を見て、 穂積の顔から、血の気が消えた。
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