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恭弥は、
自分から離れていくゼロに返す言葉がない。
ゼロの言う通り、
あの日(9月26日)までの零は、
超が付くほど純粋で、
それと同時に冗談が通じない性格で、
他人を疑わないので、
気づかない内に厄介ごとに巻き込まれることが度々あった。
けれど、
それにすら気づかない。
それぐらい、
あいつは、
他人を疑わない。
しかし、
そんなあいつをあの出来事が、
全て変えてしまった。
「君は、
本当に零くんを大切に想ってるんだね? 本当の家族みたいに」
「えっ!」
突然、
さっきまでとは違う、
優しい声でゼロが恭弥に話し掛けてきた。
その、
突然の声の変化に、
恭弥は、
一瞬恐怖を感じ、
一歩うしろに下がろうとしたその瞬間……扉の向こうから声が聴こえてきた
_ガラ_ガラ_
「一夜さん。
本当に清水君、
ここに居るんですか?」
「はい。
恭弥君から直接、
零くんと一緒に屋上に行くと教えて貰ったので」
「零くん! 恭弥君!」
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