宮さま一家

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宮さま一家

御所では、赤ちゃんの世話に追われている。母になったお妃は、なるべく母乳を与えたり自らオムツ交換したりと親子のふれあいを保つようにした。しかし、お妃には皇族としての立場がある。政府や職員が敷いたレールの上を走り続けなければならない。宮さまと一緒に宮殿へ移動したり地方公務に出席する場合は、赤ちゃんの世話を職員の方に任せた。 一方、世間では内親王初誕生ということで、女の子用グッズの売り上げが伸びた。雑誌の表紙にも、「内親王誕生おめでとうございます」の見出しでお妃の顔写真が載っている。宮さまよりも目立つお妃にはより強いガードが付けられるようになった。 赤ちゃんの成長は早くて、離乳食を食べるようになった。それからハイハイを通して自分で立つようになった。赤ちゃんから幼児となった内親王も雑誌の表紙を母と一緒に飾るようになった。内親王が着てる服はすぐに完売した。 そのうちに、お妃の体調に変化が現れた。前回と同じ症状だから、ピンと来た。お妃は、公用車で病院へ行って医師の診察を受けた。診察の結果は妊娠3ヶ月である。思った通りの結果に笑みを浮かべたお妃は御所へ戻った。 その晩、お妃から報告された宮さまは大喜びした。「やった! よくでかしたぞ」と叫び、今度も職員と共に食事会を開いて満腹になるとそれぞれの寝場所へ行って寝た。 今度もマスコミが報道合戦を繰り広げた。「今度生まれるのは男か女か」で煩く世間を騒がせる。職員の方は、「そっとしてください」と記者会見で答える。 お妃のお腹はどんどん大きくなり、公務も体調の範囲内に留めた。マスコミの質問には宮さまが応対した。 臨月に入ったお妃は、破水が始まり病院へ運ばれた。病院の内外を取り巻くマスコミの報道が過熱する中、分娩室で男児が誕生した。それを各紙は「皇子誕生おめでとう」と報道した。宮さまと職員の方が記者会見で答える中、お妃は病院内で皇子との時間を過ごした。宮さまが命名式を済ませ、出産して2週間後にお妃は皇子を抱いて宮さまと一緒に公用車で御所へ戻った。 御所で待ち構えていた内親王は、赤ちゃんを抱いてる母に向かって、「これが私の弟なの?」と声を上げた。その晩は、そばにあるベビーベッドに寝かされた皇子と共に内親王が主役のホームパーティーを開いた。みんなが満腹になるとそれぞれの寝場所へ行って就寝するのであった。
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