大学生活

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宮さまも幼い頃からそういう反分子に慣れていて、姑息なイジメをされると職員に報告するのだ。職員が虐めた子どもの親を突き止めるといじめっ子の家へ押しかけて、話し合いの場を提供する。親もいろんな人がいて、とりあえず謝る者に職員に向かって逆ギレする者と極端にいる。もちろん、キレたら週刊誌の記事にされて自らの墓穴を掘る。 自分は特別な存在だとわかっている宮さまは、SPを後ろ盾にしてスクールライフを満喫してきた。「こんなアホなんか無視してしまえ」と涼しい顔をする宮さまは、自分の将来が見えている。とにかく、宮殿の外で生きることはないのはわかってる。自分がどんな墓に葬られるのかも大方検討がつく。未来の妻も職員の方が決める。「自分は、とにかく勉強しておけばいい」と開き直って職員が敷いたレールの上に乗るしかないのだ。 そんな時、宮さまが出席した講堂の座席に座る学生の中にひときわ光る女子学生がいた。講義が終わって、みんなが外へ出ると宮さまはその女子学生に声をかけた。「今度、僕と一緒に食事しませんか」と問いかけると、「ええ、いいですよ」と答えた。 それからは、二人は学生食堂で食べるようになった。食事をしながら談話するうちに気心が知れてくるようになった。女子学生の父親は、他の大学で教授をしている。二人とも幼い頃から学問を身につけさせられている。「良かったら、歌会始の儀で発表する短歌を投稿してくれないか」と問いかけると「では、喜んで」と答えた。     
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