新婚生活

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毎日同じ生活を送るうちに慣れてきて、職員に対してタメ口になっていくお妃は、自分の体に異変を感じた。何も悪い物を食べてもないのに吐き気を感じるのだ。それが酷くなると、ソファで保たれて胸がムカつくのを抑えるのだ。「何が起こったのかしら」と不思議に思い、病院へ行くことにした。公用車で病院へ行って診察を受けたお妃は、医師から妊娠していると聞かされるのだ。もう3ヶ月に入ったという診察結果に何が起こったか自分でもわからないまま、病院を後にすると御所へ戻った。 その晩に夫である宮さまに報告した。宮さまも父になる実感がすぐには湧かなかった。「それは本当か? 来年はオヤジになるのか! よくやった」こう叫んで大喜びした宮さまは、職員も呼んで一緒に食事をした。このおめでたパーティーが終わると、各自それぞれの寝場所へ行って就寝した。 後日、宮内庁からお妃のご懐妊報告がニュース番組で報道された。悪阻が激しいお妃の代わりに宮さまがインタビューに応えた。いくらマスコミ慣れしてる宮さまでも、女性の体の事はうまく説明できない。お妃の身体的な質問は医師に丸投げして適当にかわした。 そのうちに、お妃のお腹はどんどん大きくなっていく。安定期に入ったお妃は、本人ができる範囲で公務に出席した。報道陣は、マタニティドレスを着たお妃にカメラを向ける。その写真が女性週刊誌に載ると、同じタイプの服が完売になった。実際の公務の他に経済活性化に貢献するお妃は、週刊誌の表紙を飾るようになった。 臨月に入るといつ産まれるか、マスコミ同士の熾烈な闘いが始まった。病院を張り込むようになりお妃の通院もままならないので、職員が代わりに応対した。     
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