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「でも、アタラクシアさんったら! 落っこちたじゃないですかああっ!!」
赤ら顔のアテンダントに叱られると、機長もたじたじだ。
「……」
気まずい雰囲気から逃れようとアタラクシアは視線を泳がせた。
頬を紅潮させレイチェルはすっかりできあがっている。
「太陽風に押し流されたんだ。突発的な。理論上はありえない。意図的な何かすら感じる」
アタラクシアは今回の事故を人災ではないかと疑っている。
と、その時、レイチェルが嬌声をあげた。
「機長、宇宙船です~」
胸を隠すように双眼鏡をぶら下げている。
「定期航路から外れているが?」
アタラクシアは腕をひかれるまま、デッキを駆け上がった。クラスを床で叩き割ったようにキラキラした光点が夜空を横断している。
「やったあ! 助かりますうぅ」
「レイチェル、貴女ねぇ!」
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