太陽の季節

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地球に核の嵐が吹き荒れていた。人口密集地は陥没し、キノコ雲が砂漠地帯に湧き上がる。海は干上がり、大地が焦げた。 旧北極海のスバールバル諸島。ありとあらゆる種子を収蔵した”現代版ノアの箱舟”がある。そこに数百名の男性が冷凍睡眠していた。 物理法則を超えた力が有害な放射線を撥ねつけている。半透明なガラスケースは微動だにしていない。 赤いLEDが点滅して急速解凍が始まった。 「……ん? もう平和になったのか?」 一足早く目覚めた男たちがキョロキョロと周囲を見回している。出迎えに来るはずの女性がいない。 「男と女がいがみ合う時代が来たんじゃないのか?」 彼らが訝しんでいると、脳内に声が響いた。野性的な女だ。いったい、誰だろう。 「太陽だって? あんた、男じゃなかったのかよ!?」 頭を抱えながら虚空に問いただす。 「お、女? 女はもうとっくにいるじゃないか? なぜ、創造する?」 見えない手が裸の男をひょいっと持ち上げて、手術室へ連れていった。 「うわあっ、何をする。ぎゃーっ!」 悲鳴が騒音にかき消された。 「……わかった。言うとおりにする。何でも聞くから穏便に済ませてくれ」 聞き分けのいい男たちが”太陽”と交信していた。 ”彼女”が言うには、いい加減に地球人類を”リセット”したかったが、全世界を滅ぼして一から再建すると骨が折れる。     
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