第3章(第3話)第2の試練

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そうだ。 西崎は言ってた。確かに、自分のの順番を言っていたが。それでも、もう1人の順位も知っている事も言っていた。それは白いドレスの女性だ。 これを懸念して、俺は宣言を躊躇した。 西崎が指をさした方向は白いドレスの女性だった。 「では、順番をお答えください」 「1番だ」 やはり、直ぐにAIは答えようとはしない。タイミングを計り人間の恐怖感を煽る。だが、本来なら取り乱すはずの2人。 浬子と白いドレスの女性が表情を変えない。 それを見た西崎の顔には少しだけ、汗が出ていた。 「不正解です。西崎雷、試練失敗となります」 「はぁ? ありえないだ……」 その刹那だった、頭が簡単いいえば爆発した。 その光景は前にも見たことがある、愛の姿が脳裏に過る。 だが、誰も悲鳴も何もあげない。 淡々と流れる時だけが進む。 最後の言葉さえ、時間の浪費だとAIは思っている。 でも、俺も西崎の死など、どうでもよかった。 何故、白いドレスの女性が1番では無いかが謎だ。 それも、ならば。 浬子が1番ということか。 だが、Vengeanceで無ければ試練達成者を指名する事は出来ないだろう。 脳内に響く。 「実に不思議ですね、浬子の態度が揺らがなかったという事は1番目なのでしょうか。それならば、3番目はあの白いドレスの人でしょうか?」 思考する。 そうとは限らない。 俺は5番目で誰か知らない人物が前に存在するという事になる。 この場にいる全員が既に思考状態に入っているが答えを絞りきれない。 曖昧すぎるからだ。 ものの、数秒で決着がついた浬子は勇逸の先頭打者の特権を使って勢いで滑り込んだに過ぎない。2回目からは、予想が始まる。 しばらく、沈黙が続いていたが1人がいきなり笑い始めた。 「おいおいおい、ハハハハハ、こいつやべぇよ。あの試練をまともにやってきたのかよ、アホらしぃ。まぁいいや。nomination」 見た目はパンク系の男だった。 いかにも、頭が悪そうな顔つきだ。 だが、不幸なことにそいつが指をさした相手は俺だった。
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