序章

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 まず先に言っておく。  わたしには姉と、弟がいる。  わたしには似ても似つかない。  わたしは高校生。17歳。  姉は大学生。20歳。  弟は中学生。15歳。  わかりやすくもっと砕けて表現すると。  わたしは高校二年生。姉は大学の二回生。弟は中学三年生。  いたって、どこにでも居そうな三姉弟。いや、今どき三人ってのは珍しいほう?  でも、どこにでも居そう。うん、居そうなんだよね。  なぜ最初にこの二人を紹介するかというと、わたしの人生に大きく食い込んでいるからなんだけど。  いや、家族だからそれはそうなんだよ。当たり前なんだよね。  ドラマとかにありがちな、確執とか、そんなものはない。  ただ、言うならば、わたしはお姉ちゃんが苦手だ。弟も苦手。  なぜこの二人が苦手かというと、詳しく話していかなきゃならないから……はしょる。  姉の美和は、名前に似つかわしくないほど怠惰な人だ。  毎日をジャージで過ごし、髪だって肩まで伸びてるけど手入れとかしてなさげ。女として色気なんてない。  こんな女子大生がいるのか? と最初は驚く人もいると思う。でも居る。居るんです。わたしの姉です。  眼鏡をかけているのは目が悪いからなんだけど、それでもお姉ちゃんは目つきが悪い。一重なうえに、じっと見られると睨まれてるみたいに感じる人が多いみたい。  必要な日数だけ大学に行き、他はもっぱら家で寝てる。就職活動とかどうするんだろうと心配する妹の気持ちなんて、全然気づいてくれない。
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