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一課の部屋に着くと、そこには子どもが座っていた。
「あ、さっきの兄ちゃん」
とても疲れた目をした少年は、湊人を見ると椅子から立ち上がる。
「犯人は、捕まえてくれたの」
湊人が答えられずにいると、少年のそばの小晴が助け舟を出した。
「お兄ちゃん、頑張ったんだけどね、犯人は遠くにいっちゃったの」
「遠く? 遠くって、どこに? 日本のお外?」
「ううん、もっと遠く。聡太くんの、お父さんがいるところよ」
すると少年はにっこりと笑った。
「じゃあ、お父さんが捕まえてくれるよ! 僕のお父さん、強いもん!」
湊人は小晴に礼を言って、その場を離れた。
その目に、うっすらと涙を浮かべて。
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