警視庁第十九課 『切り裂きジャックの復活』

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 被害者の三人、金子(かねこ)さやか、岩嶋(いわしま)愛理咲(ありさ)大路(だいじ)レオ。  彼らが受けた傷は幸いにも浅く、ちょっとした手術で済んだようだ。  三人は全員同じ部屋で入院しており、被害者たちも協力的だったため、聴取は短時間で終わった。 「犯人は四十代の男性、紺のジーンズに黒のジャンバーを着用。靴は……まあ、どこにでもありそうなものだな」  車の中で、湊人たちは証言を照らし合わせる。 「場所は、三人とも地下街でいいよね。刺された場所は、さやかさん、愛理咲さんの距離は近いけど、レオ君は百メートルほど離れてるね」  遊星は地下街の地図に丸を付け、付箋を貼っていく。 「刺された場所は、さやかさんが腹部、愛理咲さんが大腿部、レオさんが顔やな。レオさんの頭、包帯でぐるぐる巻きやったけど、まあみんな軽症で済んでよかったわ」 「よくないだろ。犯人はまだ逃走中だ。どこかでまた事件を起こすかもしれない」  本部への連絡を終えた湊人が、どこか遠くを見つめながら言った。
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