0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「まだかなー。」
ちえは自分の部屋の窓から夜空を見上げていた。
今夜は今年初の雪の予報だけあって、閉めきった部屋の中でもひどく冷え込む。
数時間前の興奮も冷めやらぬまま、窓際で白い息を吐きながら、ちえは初雪を待ち望んでいた。
すると部屋のドアをやさしくノックする音が聞こえてきた。
「はーい。」
その音にちえが答えると、部屋の扉が開く。
「ちえちゃん、そろそろ寝る時間よ。あら……。」
扉から覗き込んだちえの祖母は、ちえの出で立ちを見てぎょっとした。
「ちえちゃん、寒いなら暖房をつけなさいよ。
コートに手袋なんて、まるでお外に行く格好じゃない。」
「いいの、気にしないで。
それより、おばあちゃん。」
「なあに?」
「今夜、雪がふるんだよね?」
最初のコメントを投稿しよう!