0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「どうしたの、おかあさん。」
突然泣き出した母親を見たちえは、
はしゃぐ足を止め由理恵の元へと駆け寄り心配した。
由理恵はそんなちえの頭を優しく撫でると、
ちえと同じ目線にしゃがみこんだ。
「ねえ、ちえちゃん聞いて。
お母さん、もうすぐお星様になるの。」
「……お星様に?」
由理恵の言葉に、ちえは不安そうな表情を覗かせる。
すでに父親を失っていたちえは
幼いながらもその意味をなんとなく理解していた。
「お父さんがいる所に行かなきゃいけないの。」
「……お父さんのところ……。」
由理恵は小さなちえをそっと抱き寄せ、
「でも、悲しまなくてもいいのよ。
お母さん、ちえちゃんのことは
お空からちゃーんと見てるからね。」
と、ちえを安心させるように言った。
そして、これ以上泣く姿をちえに見せないよう
ちえをギュッと抱きしめた。
しかし、そんな由理恵の耳元で
ちえはこう柔らかく言うのだった。
「……お母さん。
お母さんがおほしさまになるなら、
ちえは大丈夫だよ。
だって……」
最初のコメントを投稿しよう!