1人が本棚に入れています
本棚に追加
七番手、兼業主婦。
『納豆破棄だ 火くべよ』
「おい。この納豆、一か月も前に期限が切れてるぞ」「……何ですって?」「いや、だから」「私、前にあなたに早く食べてって言ったわよね?」「え?」「言ったわよね」「あ、ああ」「――破棄よ! あの火にくべておしまい!」「わ、分かりましたー!」
共感できたのかそうしたいという願望なのか、深く頷く女性が多数。
やはり、決勝戦はつわもの揃いだ。
「では、最後の選手です」
司会の声に、拍手が起こる。
はい。
俺は極力落ち着き払ったように聞こえる声を選んで、薄く笑んで見せた。ゆったりと演台まで歩いて、手にした紙を栄光のライトが当たるそこへ、す、と置く。
会場がどよめく中、俺はマイクを持ち、口を開いた。
最初のコメントを投稿しよう!