問題編

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問題編

[#1] 「今回ばかりはお手上げだ!」 大げさに頭をかきむしったのは、 言うまでもない鬼鬼鬼瓦(キキキガワラ)警部、その人である。 警部が頭をかきむしったのには、理由がある。 とある旧家で起こった連続殺人事件。 地元で代々、医師を営んでいる名家。 その一族がこの1週間ですでに3名も殺されたのだ。 しかも惨殺である。 三人目の被害者発見を受け、比嘉家屋敷にて取り調べを 行ったが、関係者にはすべて鉄壁なアリバイがあるのが確認された。 『関係者の中に犯行が可能な人間は存在しない。  ということは、外部犯の仕業か?  いや、しかし、そんなはずはない。  潤一郎が殺された時、警察は屋敷内にいた。  外部から誰かが侵入して、犯行を遂げられたはずはないのだ。』 「ああ、いったいどうなっとるんだ。」 「警部!」 ざざりと襖が勢いよく開けられ、若い巡査が部屋に。 「どうした。」 「あの、それがですね。」 「なんだ。」 「警部にぜひ会わせろという男がおりまして。」 「はぁ?」 「え、その、銀大地 業輔(ギンダイチ ギョウスケ)と名乗っておりまして。」 「なんだと?」     
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