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「ほう?それであれば、すぐに犯人を捕まえることができるのでは?」
「そういうわけにはいかんのだ。」
「どういうことですか?」
沈黙。
「鬼鬼鬼瓦警部、事件を解く重要な鍵かもしれないんですよ。」
「分かっとる。…決して、口外するんじゃないぞ。」
「もちろんです。」
深く深く、ため息の後、鬼鬼鬼瓦はようやく切り出した。
「被害者はすべて暴行された後があったんだ。」
「暴行?」
「ああ、しかも性的なだ。」
「警部、一人目の被害者以外は男性では?」
「分かっとる。」
「警部、しかも二人目の被害者は70歳を超える高齢ですよ?」
「分かっとる。」
顎をさする銀大地は、鋭い眼光を鬼鬼鬼瓦にぶつける。
「…察するに痕跡というのは、それだけではないのでしょう?」
「ああ。」
沈黙。
「警部。」
「被害者の肉体から、共通する精液が発見された。
…誰のものだったと思う?」
「…?」
「二人目の被害者、比嘉潤一郎のものさ。
自分で自分を襲ったかのような証拠が出とる。
随分と馬鹿げた話だろう。」
瞬間。
口元に手を当てる銀大地。
放心したような顔。
「…警部、関係者の一覧はありますか?」
「なんだと?」
「関係者の一覧ですよ!」
「もちろん、あるが。」
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