*

2/15
前へ
/15ページ
次へ
「わぁ~!懐かしいものが出てきました」  今日の夜は1人だという彼女・真綾に誘われて、自宅で晩御飯をご馳走になった夜のことだった。  真綾の部屋で寛いでいると、クローゼットをゴソゴソしていた真綾がおもむろに取り出してきたソレ。紺色の大きな襟と、そこにあしらわれた2本の白い線。少し布に余裕を持たせた手首の膨らみと、それを引き締める袖口にも2本の白い線が鎮座している。襟の終着点には、線と同じく穢れの無い白のスカーフが結ばれる。少し丈は短めのトップスから、くびれを強調するかのように広がるプリーツは、想像するよりも随分と魅力的で。  そう、所謂ソレは、セーラー服、だった。 「……」  思わず透哉が絶句していると、真綾はハンガーに掛かったままのソレを自分にあてがい、くるりと一回りした。 「懐かしい~!中学生の時の制服です!クリーニング出してそのまんまでした!」  真綾は思い出を辿るように、裾やスカーフをちょいちょいと弄っている。  ふと、ソレを着た真綾の姿を想像し、透哉はえもいわれない気持ちになった。 「…見たい」 「え?」 「ソレ着た真綾が見たい」
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加