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「わぁ~!懐かしいものが出てきました」
今日の夜は1人だという彼女・真綾に誘われて、自宅で晩御飯をご馳走になった夜のことだった。
真綾の部屋で寛いでいると、クローゼットをゴソゴソしていた真綾がおもむろに取り出してきたソレ。紺色の大きな襟と、そこにあしらわれた2本の白い線。少し布に余裕を持たせた手首の膨らみと、それを引き締める袖口にも2本の白い線が鎮座している。襟の終着点には、線と同じく穢れの無い白のスカーフが結ばれる。少し丈は短めのトップスから、くびれを強調するかのように広がるプリーツは、想像するよりも随分と魅力的で。
そう、所謂ソレは、セーラー服、だった。
「……」
思わず透哉が絶句していると、真綾はハンガーに掛かったままのソレを自分にあてがい、くるりと一回りした。
「懐かしい~!中学生の時の制服です!クリーニング出してそのまんまでした!」
真綾は思い出を辿るように、裾やスカーフをちょいちょいと弄っている。
ふと、ソレを着た真綾の姿を想像し、透哉はえもいわれない気持ちになった。
「…見たい」
「え?」
「ソレ着た真綾が見たい」
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