愛と許容

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 タクトと喧嘩をしたのがもう数日前だなんて信じられない。カレンダーにバツをつけながら、私は半分死んでいた。 「原因は?」  携帯電話から、ため息交じりの声がする。恋多き乙女のメグルちゃんは私の一番の友達で、こういう花の蜜で花を洗ってしまうような、甘ったるい少女漫画な経験が豊富だから、タクトと何かがあるたびに電話をかけては、しょっちゅう相談に乗ってもらっている。 「……この間、タクトと一緒にお祭りに行ったんだけど」 「うん」 「その時にタクトが青いブローチをくれたのね」 「わかった。リアクション間違えたんでしょう」 「エスパーかな?」  まったくその通りだ。その通りすぎて「その通り!」くらいしか言葉が出ない。  いやだって、渋すぎないか。夏祭りだぞ。夏祭りデートで青いブローチ。しかも、おばあちゃんがカラオケの発表会とかにはりきって着けていくような、ゴリゴリの装飾で、安いくせに光だけはピカピカ反射するようなやつ。いやべつに、値段は気にしていない。いないけど、夏祭りの場で渡すような代物ではなかったと思う。なぜ今このタイミング? そう考えているうちに反応が遅れて、プレゼントをもらったのにノーリアクションという罪を犯し、そこから目に見えて不機嫌になったタクトと口論になり、最終的に別れ話が出た。以上あらすじ。
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