思わぬ再会

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翔太は酔った勢いで、つい最近のことだが「昔話」を始めた そこには二人だけの生活、俺がおくったものとは違う同棲生活があった 「正直、おまえはよくやったと思うよ」 おれが声をかける おれと翔太の愛情表現はまるで真逆だった ある意味、おれとの恋愛に不満を持っていた沙耶が翔太に走ったのもうなづける よく言えば、おれは放任主義だった 一緒に暮らしているのに、休みの日ぐらいしか顔をあわせなかった そのうえ、休みに用事を入れたなら夜まで帰ってこない いつも沙耶の寂しそうな顔が印象的だった それでも俺は自分を変えることができなかった・・・その結果、沙耶を失ったわけで 翔太はそんな彼女の苦しみを知っていた 何度か俺に説教じみたことを言ってきたことがあって、少なからず衝突もした だからこそ、自分の彼女になった沙耶を 今まで思ってた通りの形で愛そうとしたのだろう いつも一緒にいて、ほしいものを与えようとした でも、結果 沙耶は出て行ってしまった 「やっぱ、紫音さんじゃないと沙耶を幸せにできないんですよ」 半ば酔いつぶれた翔太が突っ伏して、くぐもった声で言う やがてそのままその場で眠ってしまった いつものことだから、とマスターが笑う どうも沙耶が出て行ってから、何度かつぶれるまで飲んでたようだ 今まで出会わなかったのが不思議な感じがする 「最初は、紫音くん見かけたときは避けてたみたいだからね」 何気にマスターは事情通 いや、翔太がおしゃべりなだけか? とりあえず、翔太をそのままにして 俺は店を出た なんとなく引っかかる心のまま
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