さくら舞う

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 「まあ、特に他に予定もないから行こうかな」  「なんだその言い草は、言っておくがこれはお前に貸しだからな。いつか利息つけて返してもらうぞ」  ニューヨークからワシントンDCまでは鉄道を利用して三時間と少しかかる、往復にかかる時間を考慮して一泊ホテルを予約しておくよと、御園は手際よく物事を進めていく。  ホテルに到着したのは、午後二時を少し回ったころだった。取り敢えずチェックインを済ませ荷物をフロントに預けた。  「あー、中途半端な時間に朝飯食ったから腹減ったよな。これじゃ桜見ても団子の方がいいとしか思えねえ。ホワイトハウス周辺に日本の屋台も出ているから、腹ごしらえに行くぞ」  やたらとはしゃぐ御園の顔を見ながら少し気持ちが柔らかくなった。  賑やかな通りで久々に日本のジャンクフード、祭りの屋台を楽しんだ。桜の花弁がはらりと舞った時に「この次の桜は一緒に見たいですね」そう言った桜井の言葉が脳裏を過った。  ポトマック川に沿った桜並木の下を歩く、御園は歩くテンポを合わせてくれる。こういう心遣いが出来るのは桜井も同じだった思う。太陽が傾き、桜並木をあかく染め始めた。  「綺麗だな」  ぽそりと声に出してふと横を見ると居るはずの御園がいない。     
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