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「本当は来月の予定でした。片付けるべきことがあまりにも多くて遅くなりました。泣言を並べたくなくて、連絡もせず本当にすみませんでした。けれど、予定を早めたのでここ一週間はほぼ寝ていなくてふらふらですよ」
「なに?それは何か仄めかしているつもりか」
「さあ、どうでしょうね。寝不足で丁度良いくらいにはしつこいとは思いますけれど?」
「は、なんだそれ。じゃあ証明してもらうか」
ホテルの部屋に入ると同時にその肩に噛みついた。誰かを噛んだことなど一度も無かった、そしてそんな欲求を持ったことも一度も無かった。けれど、どうしてもその衝動が止められなかった。
「いっつ」
桜井は少し顔をしかめたが、すぐに笑顔になった。
「羽山さんに食べられるのなら、それも良いかもしれませんね」
生意気な男をベッドに引き摺り倒し、そのネクタイをその襟元から引き抜く。
「お前は動くな」
「え?」
桜井の両手をまだ温もりのあるネクタイで縛りあげる。抵抗するつもりはないようだ。大人しくこちらを見上げている。桜井のシャツのボタンを外しながら、自分が思っていたより飢えていたことに気が付いた。早く、早くと急く自分がいる。
桜井はジャケットとシャツの前をはだけ、それ以外何も身に着けていない姿になった。両手を頭の上で縛られて、少しだけ驚いたような顔でこちらを見上げている。その男の目の前で自分の着ている服を一枚ずつ脱ぎ捨てた。
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