To love without criticism is to be betrayed.

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「……なんて、仰っておいででしたのにね」 「聞いているのか?エカチェリーナ・イヴァノヴァ・オルロワ!」 「…ええ。ドミートリー皇太子殿下」 あの雪の日に、父を亡くして嘆くエカチェリーナに微笑みかけた麗しの皇太子は、今は険しい顔で目の前に立っている。 その傍らには男女が一人ずつ控えていた。 エカチェリーナの兄にして現オルロフ公爵であるセルゲイと、某男爵の令嬢ソフィアである。 「我が兄にして当公爵家の主が既に是としているものに、否とは申せませんわ。非常に残念ですが…」 「ああ、本当に残念だ、エカチェリーナ。君が、身分が低いというだけで人を貶めるような人間だったこと、私自身長くそれを見抜けずソフィアを傷つけてしまったこと……悔やんでも悔やみきれない」 「……用件が済みましたらわたくしはこれで失礼致しますわ」 エカチェリーナは苛立ちを抑え、それでも公爵令嬢らしくと自分に言い聞かせながら一礼をする。 身を翻し、ドミートリーの執務室から退室するエカチェリーナだが、その背に兄・セルゲイの厳しい声が被さった。 「エカチェリーナ!ソフィア嬢への嫌がらせの数々、ドミートリー殿下との婚約破棄のみでは済まないぞ!我がオルロフ公爵家に恥知らずの席はなく、私に卑怯者の妹はいない。以後オルロフ公爵家の名を語ることを許さぬ。私の剣に切って捨てられたくなくば、早々に家からも出て行くのだな!」
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