第三章

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彰人さんと結婚して、半年程経った頃。 私はいつものようにリビングから外の景色を眺めていた。 そして坂の下に誰かがいるのに気付いた。 そちらに目を向けると、その誰かはパッとすぐに身を隠してしまった。 誰だか分からなかったから、とても怖くてすぐにカーテンを閉めた。 そして、恐る恐る隙間から、様子を伺った。 身を隠したその誰かは、カーテンが閉まったことで諦めたのか、坂を下って去っていった。 その背中を見て、驚いた。 その背中はアキにとても似ていたからだ。 そして次の日も、その次の日も、同じ姿は現れた。 私はその姿がアキだと確信した。
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