第一章

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4. 「あ、そうだ。今日の接待、延期になったんだって。さっき連絡があったんだ」 加藤がエクセル文書を僕から受け取りながら言った。 「え?そうなの?」 「先方の都合が悪くなったらしい。良かったな。愛する千紗さんが作る夕飯が食べられるじゃないか」 「ああ、そうだね。あ!だけど今日はいらないって伝えちゃったんだ」 僕はスマホを取り出した。 千紗に電話を掛ける。 だが着信音が鳴り続けるだけで、千紗は電話に出なかった。 諦めて、終了ボタンを押す。 「あれ? 千紗さん、出なかったの?」 「ああ、どうしたんだろう。いつもはたいがい出るんだけど」 「主人の居ぬ間に、千紗さんもヤル事やってたりして」 千紗にベタ惚れの僕を加藤はいじめたいらしい。 「なことあるわけないだろう?」 僕は加藤の言葉を流して、LINEを開いた。 接待が延期になった旨を書き込んでおく。 しばらく画面をみていたが、やはり既読にはならなかった。
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