93人が本棚に入れています
本棚に追加
4.
「あ、そうだ。今日の接待、延期になったんだって。さっき連絡があったんだ」
加藤がエクセル文書を僕から受け取りながら言った。
「え?そうなの?」
「先方の都合が悪くなったらしい。良かったな。愛する千紗さんが作る夕飯が食べられるじゃないか」
「ああ、そうだね。あ!だけど今日はいらないって伝えちゃったんだ」
僕はスマホを取り出した。
千紗に電話を掛ける。
だが着信音が鳴り続けるだけで、千紗は電話に出なかった。
諦めて、終了ボタンを押す。
「あれ? 千紗さん、出なかったの?」
「ああ、どうしたんだろう。いつもはたいがい出るんだけど」
「主人の居ぬ間に、千紗さんもヤル事やってたりして」
千紗にベタ惚れの僕を加藤はいじめたいらしい。
「なことあるわけないだろう?」
僕は加藤の言葉を流して、LINEを開いた。
接待が延期になった旨を書き込んでおく。
しばらく画面をみていたが、やはり既読にはならなかった。
最初のコメントを投稿しよう!