第一章

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目隠しをしたいと先に言いだしたのは千紗だった。 たまたま脱ぎ捨てていたネクタイに気付いた千紗が、してみたいと提案してきたのだ。 目隠しをすると、千紗は刺激に過敏になるし、反応がすごく良い。 僕としても、何をされるか見えない千紗の不安げな顔や、主導権を完全に握れる征服感に、正直、興奮してしまう。 千紗に繋がった僕が身体を突き上げれば、千紗は泣くように声をあげた。 終わりにしてしまうにはまだもったいなくて、ラストスパートしてしまいそうな手前で動きを止め、そのまま千紗の頬にキスをする。 「……彰人(あきと)さん」 「ん?」 答えながら、千紗の唇にも軽くキスをすると、千紗はもう一度、キスをしてほしいのか、唇を突き上げて、顔を近づけてきた。 それに応えず、いたずらに耳たぶを噛んだ。 「やあん…、もう!」 千紗が身体をよじって拗ねる。 その仕草が可愛くて、今後は首筋をぺろりと舐めると、千紗は「くすぐったい」と笑った。 愛しさが込み上げる。 「千紗、好きだよ」 耳元に口を近づけて、そっと囁く。 千紗は小さく身震いしたあと、嬉しそうに口元を緩めた。 「私、彰人さんの声が好き」 「僕の声? どうして? そんなに良い声じゃないと思うけど」 「何て言ったらいいのかな。どうしようもなく惹かれてしまう声ってない?」 「どうしようもなく?」 「そう、どうしようもなく」 「そういうもの? でも千紗が好きなのは、僕の声だけ? 僕のことは?」 いじけた声を出して、千紗の言葉を待つ。 「もちろん、好きよ。彰人さんも好き」 期待どおりの答えに僕は満足して、ご褒美に千紗の唇にキスをした。 千紗の腕が僕の首に巻きつく。 また僕たちは深く、深く、熱を重ね、ぶつけ合った。 千紗が声をあげる。 僕の名前を呼ぶ。 「あ……、彰人さん!……あ、アキぃ!」 僕は千紗のその声を聞きながら、波を最高潮へと上げて果てた。
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