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目隠しをしたいと先に言いだしたのは千紗だった。
たまたま脱ぎ捨てていたネクタイに気付いた千紗が、してみたいと提案してきたのだ。
目隠しをすると、千紗は刺激に過敏になるし、反応がすごく良い。
僕としても、何をされるか見えない千紗の不安げな顔や、主導権を完全に握れる征服感に、正直、興奮してしまう。
千紗に繋がった僕が身体を突き上げれば、千紗は泣くように声をあげた。
終わりにしてしまうにはまだもったいなくて、ラストスパートしてしまいそうな手前で動きを止め、そのまま千紗の頬にキスをする。
「……彰人さん」
「ん?」
答えながら、千紗の唇にも軽くキスをすると、千紗はもう一度、キスをしてほしいのか、唇を突き上げて、顔を近づけてきた。
それに応えず、いたずらに耳たぶを噛んだ。
「やあん…、もう!」
千紗が身体をよじって拗ねる。
その仕草が可愛くて、今後は首筋をぺろりと舐めると、千紗は「くすぐったい」と笑った。
愛しさが込み上げる。
「千紗、好きだよ」
耳元に口を近づけて、そっと囁く。
千紗は小さく身震いしたあと、嬉しそうに口元を緩めた。
「私、彰人さんの声が好き」
「僕の声? どうして? そんなに良い声じゃないと思うけど」
「何て言ったらいいのかな。どうしようもなく惹かれてしまう声ってない?」
「どうしようもなく?」
「そう、どうしようもなく」
「そういうもの? でも千紗が好きなのは、僕の声だけ? 僕のことは?」
いじけた声を出して、千紗の言葉を待つ。
「もちろん、好きよ。彰人さんも好き」
期待どおりの答えに僕は満足して、ご褒美に千紗の唇にキスをした。
千紗の腕が僕の首に巻きつく。
また僕たちは深く、深く、熱を重ね、ぶつけ合った。
千紗が声をあげる。
僕の名前を呼ぶ。
「あ……、彰人さん!……あ、アキぃ!」
僕は千紗のその声を聞きながら、波を最高潮へと上げて果てた。
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