第二章

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『薬を飲まないと、命が危ないと主治医が言ったのは、本当だったと実感している。 ここ数日、身体が思うように動かなくなっている。 自宅に引き篭もっているからか余計に、精神状態も良くない。 千紗に会えない日々なんて、もう耐えられない。 昨日は吐いた。 そろそろかもしれない。 最近は、毎晩のように千紗が夢に出てきて、ぼくの名を呼ぶ。 目が覚めて、千紗がそばにいないことに涙が止まらなくなる。 千紗‥‥。会いたい。 完全に動けなくなる前に、最後にもう一度だけ。 遠くからでも構わないから。 2019.1.21』 『朝から頭がぼーっとしていたせいで、千紗の旦那にすれ違いざまにぶつかってしまった。 アイツはぼくのことをまったく気付かなかった。 当たり前か。 ぼくらに接点はない。 敢えてあげるなら、ぼくらは千紗を愛しているということくらいだ。 千紗は、笑顔で近づいてきて、ぼくを家の中へとあげてくれた。 そして、リビングから富士山が見えることを、嬉しそうに話してくれた。 その千紗の表情が、ぼくにとって嬉しいはずなのに、辛くもなった。 千紗、愛してる。 ありがとう、ぼくを愛してくれて。 明日も、千紗に会えるだろうか。 2019.1.23』 ************
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