93人が本棚に入れています
本棚に追加
『薬を飲まないと、命が危ないと主治医が言ったのは、本当だったと実感している。
ここ数日、身体が思うように動かなくなっている。
自宅に引き篭もっているからか余計に、精神状態も良くない。
千紗に会えない日々なんて、もう耐えられない。
昨日は吐いた。
そろそろかもしれない。
最近は、毎晩のように千紗が夢に出てきて、ぼくの名を呼ぶ。
目が覚めて、千紗がそばにいないことに涙が止まらなくなる。
千紗‥‥。会いたい。
完全に動けなくなる前に、最後にもう一度だけ。
遠くからでも構わないから。
2019.1.21』
『朝から頭がぼーっとしていたせいで、千紗の旦那にすれ違いざまにぶつかってしまった。
アイツはぼくのことをまったく気付かなかった。
当たり前か。
ぼくらに接点はない。
敢えてあげるなら、ぼくらは千紗を愛しているということくらいだ。
千紗は、笑顔で近づいてきて、ぼくを家の中へとあげてくれた。
そして、リビングから富士山が見えることを、嬉しそうに話してくれた。
その千紗の表情が、ぼくにとって嬉しいはずなのに、辛くもなった。
千紗、愛してる。
ありがとう、ぼくを愛してくれて。
明日も、千紗に会えるだろうか。
2019.1.23』
************
最初のコメントを投稿しよう!