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6.
パソコン画面に立ち上がったフォルダ内には、たった一つだけ、ビデオファイルが入っていた。
僕はヘッドフォンをすると、そのビデオファイルをクリックする。
すぐに映し出された映像はピンボケしていて、何が写っているのか分からなかった。
千紗の声がヘッドフォンから聞こえてきた。
『ねぇ、この布キツイ。取れない。お願いだから、取って』
男の声も聞こえてくる。
『ダメだよ、それは絶対に外しちゃダメ。外そうとするなら、手の自由も奪うよ』
『ねぇ、どうして。どうして目隠しをするの?』
『千紗にぼくの姿を見て欲しくないから』
ピンボケした映像が次第にクリアになった。
目隠しされた千紗が映った。
大塚の部屋だろうか。
よく見ると、千紗はベッドに座らされているのが分かって、声をあげたくなる。
『ねぇ、アキ。教えて。私はまだ、あなたが何故、私の後をつけているのか、その理由を聞いていない』
『千紗』
『何?』
すると画面に男の背中が映り込み、千紗はベッドに押し倒された。
『い、いや! ちょっと待って!』
千紗が抵抗する。
だか男は構わず、千紗の服を脱がし始めた。
ヤメロ、ヤメテクレと、僕の心が叫ぶ。
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