第二章

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『アキ! 待って。私はもう結婚しているの。 どうして今更こんなことをするの? アキは私を振ったのよ! それなのに、どうして?  もしかして本当は、まだ私のことを好きなの?』 千紗の声に男の手が止まった。 『ねぇ、千紗。今、君の目の前にいるのは、水瀬彰人。ぼくは千紗の夫だよ』 『え?』 僕は男の声に戸惑った。 千紗もそれは同じだったようで、僕の心の声と千紗の声が重なる。 『目隠しされている君は、これから、君の夫である水瀬彰人に抱かれるんだ』 『そんな‥‥、何を言っているの?』 『ぼくは水瀬彰人だ。千紗、いつものように、彰人さんって呼んで』 千紗は男の言葉に声を失い、そのまま抵抗を止めた。 男は抵抗しなくなった千紗の服をゆっくりと脱がし始めてた。 千紗の白い肌が少しずつ露わになっていく。 ついに下着姿だけにされた千紗が、少し震えた声で、「彰人さん」と僕の名を呼んだ。 『なあに?千紗?』 それに答えた男の声が、あまりにも僕の声に似ていた。 ドクンと鼓動が高鳴った。 それは拒否のスイッチじゃなかった。 僕はこれから千紗を抱く。 恐ろしく高揚していた。 「彰人さん…」と、千紗の方も求めてきた。     
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