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『アキ! 待って。私はもう結婚しているの。
どうして今更こんなことをするの? アキは私を振ったのよ! それなのに、どうして?
もしかして本当は、まだ私のことを好きなの?』
千紗の声に男の手が止まった。
『ねぇ、千紗。今、君の目の前にいるのは、水瀬彰人。ぼくは千紗の夫だよ』
『え?』
僕は男の声に戸惑った。
千紗もそれは同じだったようで、僕の心の声と千紗の声が重なる。
『目隠しされている君は、これから、君の夫である水瀬彰人に抱かれるんだ』
『そんな‥‥、何を言っているの?』
『ぼくは水瀬彰人だ。千紗、いつものように、彰人さんって呼んで』
千紗は男の言葉に声を失い、そのまま抵抗を止めた。
男は抵抗しなくなった千紗の服をゆっくりと脱がし始めてた。
千紗の白い肌が少しずつ露わになっていく。
ついに下着姿だけにされた千紗が、少し震えた声で、「彰人さん」と僕の名を呼んだ。
『なあに?千紗?』
それに答えた男の声が、あまりにも僕の声に似ていた。
ドクンと鼓動が高鳴った。
それは拒否のスイッチじゃなかった。
僕はこれから千紗を抱く。
恐ろしく高揚していた。
「彰人さん…」と、千紗の方も求めてきた。
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