第一章

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2. 翌朝僕が起きた時、千紗はリビングダイニングに対面したキッチンで朝食の支度をしていた。 未だに新婚気分な僕は、「おはよう」の挨拶と一緒に、千紗の頬に軽くキスした。 千紗がはにかみながら、小さく笑う。 「すぐに朝食にするから、先に座ってて」 僕は朝食が用意してある食卓に腰を掛けた。 千紗もすぐに来て、向き合って座る。 「今日は帰りが遅い?」 「うん。取引先の接待だからね」 「じゃあ、夕食はいらない?」 「うん。食べてくる」 僕は朝食を終えると、身支度を整えるために一度リビングから出た。 そして出掛けに再びリビングへ戻り、千紗に声を掛けようとすると、千紗はカーテンを開けたリビングの窓から外を眺めていた。 「千紗、行ってくるよ」 声を掛けてみたが気付かない。 何を見ているのだろうと気になり、千紗の隣に立って同じように外を見た。 だが普段と変わりない景色だった。 「どうかした?」 「……え?」 千紗は僕が隣に立ったことすら気付かなかったらしい。 それほどに何か?  僕はもう一度、窓の外に目を向けた。
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