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僕は身勝手な千紗に苛立ちを覚え、千紗の肩をグッと掴むと、近くの壁に押し付けた。
「僕だけを愛せないのに、どうして別れたくないなんて言えるの?僕と別れたくないなら、僕を愛してると証明してみせて」
僕は千紗の目をじっと覗き込む。
「いい?千紗。
千紗は今から、絶対に目を閉じちゃダメだ。
僕の声が大塚を思い出すなら、今から僕は声を出してなんかやらない。千紗を抱くのはアキじゃない。水瀬彰人だからね」
僕は荒々しくネクタイを緩めると、眼鏡をあけたまま、目を見開いたまま、千紗の唇を力強くよく塞いだ。
千紗の目がちゃんと僕を見ているか、確認する。
千紗は僕の言い付けどおり、目をしっかりとあけていた。
いつもならゆっくりと互いの服を脱がし合うのに、僕はそうしなかった。
千紗の服を荒々しく脱がし、自分のスーツを床に脱ぎ落とした。
眼鏡だけは絶対に外さなかった。
千紗が大塚のことを思い出す隙を作るものか。
声だって、発してやらない。
僕は千紗から視線をずっと外さずに、嫉妬をぶつけて、激しく抱いた。
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