第三章

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僕は身勝手な千紗に苛立ちを覚え、千紗の肩をグッと掴むと、近くの壁に押し付けた。 「僕だけを愛せないのに、どうして別れたくないなんて言えるの?僕と別れたくないなら、僕を愛してると証明してみせて」 僕は千紗の目をじっと覗き込む。 「いい?千紗。 千紗は今から、絶対に目を閉じちゃダメだ。 僕の声が大塚を思い出すなら、今から僕は声を出してなんかやらない。千紗を抱くのはアキじゃない。水瀬彰人だからね」 僕は荒々しくネクタイを緩めると、眼鏡をあけたまま、目を見開いたまま、千紗の唇を力強くよく塞いだ。 千紗の目がちゃんと僕を見ているか、確認する。 千紗は僕の言い付けどおり、目をしっかりとあけていた。 いつもならゆっくりと互いの服を脱がし合うのに、僕はそうしなかった。 千紗の服を荒々しく脱がし、自分のスーツを床に脱ぎ落とした。 眼鏡だけは絶対に外さなかった。 千紗が大塚のことを思い出す隙を作るものか。 声だって、発してやらない。 僕は千紗から視線をずっと外さずに、嫉妬をぶつけて、激しく抱いた。
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