第三章

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『春明の調子が良くないの。もうダメかもしれない』 「……え?」 『だから病院を移ったの。メモできる?』 僕は中山が告げた病気名を近くにあった紙に書いた。 『春明の死に目に会いたいわよね? 殺したいほど、憎いでしょう?』 中山にそんなことはないと言い訳のしようもなかった。 何しろ、首を絞めようとしてしまったところを見られてしまっている。 僕が何も言えずにいると、『……いいのよ、そう思うのが普通よ。だから、春明の最後を見にきて』と中山は言い、遮るようにプチッと通話は切れた。 大塚が予想外に早く危篤になったことで、僕は戸惑ってしまった。 呆然とした僕に、千紗が「彰人さん?」と声をかけてくる。 「千紗……大塚のところに行こう」 僕の静かで重々しい声に、千紗はその意図を汲み取ったような目をした。
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