第一章

6/19
前へ
/62ページ
次へ
とその時、脇道から人が突然出てきて、肩と肩がぶつかった。 「すみません」 咄嗟に謝る。 相手は僕にちらりと目を向けると、すぐに下を向いてしまい、すまなさそうに頭を軽く下げた。 この辺では見かけない男だと思った。だが気分が良い僕はとくに気にもしない。 また軽やかに坂を下り出す。 その男が振り返り、立ち去る僕の背中を見送ったことにも気付かなかった。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

93人が本棚に入れています
本棚に追加