第一章

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3. 加工食品の製造販売会社に勤務している僕は、マーケティング部に所属していた。 先日行ったWEBアンケート調査結果を眺めながら、今後の方針を思案する。 「なあ水瀬、これ見ろよ。また芸能人の不倫騒動だよ。ここ最近、本当多いよな」 隣から声を掛けてきたのは同僚の加藤だった。 同期で馬が合い、プライベートの付き合いもある。 市場調査をしていたはずの加藤は、立ち上げたブラウザに芸能情報をずらりと表示していた。 「なんで芸能界の市場調査をしているんだよ。調査するのは食事情だろう?」 「芸能人の間で流行の食生活を調べているんだ。これも市場調査の一環だろう?」 確かにマスコミで話題になる食事をタイミング良く売り込めば利益は上がる。 だが本当に加藤がそれを狙って検索していたかは定かではない。 僕が呆れて何も言わずにいると、「こうもたくさん不倫騒動があると、不倫に対する価値観も変わるよな」と話を続けた。 仕方がないから、すこしだけ話にのることにする。 「どんな風に変わる? 昔も今も変わらず、ダメなものはダメだろう? どのみち彼らはみな、バッシングされているし」     
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