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第一章
あなたは許せるだろうか。
愛する人の心の半分が、別の誰かのものだとしても。
そもそも僕は、優しいまなざしで笑いかけてくれる彼女が裏切っているなんて、一ミリたりとも考えたことがなかったし、ふとたまに見せる寂しそうな横顔の理由を、忙しさからほったらかしにしている僕のふがいなさとか、日々の些細なすれ違いのせいなのかなと思っていた。
結婚して1年経ったとはいえ、僕は彼女をとても愛していたし、そしてもちろん彼女も僕を愛していると信じて疑わなかった。
互いの心が離れていく要因に、夫婦の場合はセックスレスが上げられるというけれど、僕たちはそれもなかった。逆に十分に夜の営みも楽しんでいたくらいだ。
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