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私はアニオタだが、残念なことに最近テレビが壊れて見られなくなっていた。
直ちに修理に出したかったが、修理代は一向に貯まらなかった。アフマドくんの「コノグッズ、イマカワナイトウリキレルヨ!」の言葉にいつも乗せられてしまい、私のバイト代は目先のアニメグッズへと消えてしまっていた。そのため、アニメはもっぱらiPhone 3G(2008年購入)を使い有料の動画配信などで見ていた。
だが割れた液晶でアニメを視聴するのは不便である。さらに、テレビを見られないのにNHK受信料を支払い続けているという虚しさは常に付きまとっていた。一時解約すればいいものを、面倒なのでしないところが私の貧乏人たる所以である。
「……分かった」
隣田くんは了承の意思を示した。
私はビーフストロガノフを小皿に取り分けると、102号室にお邪魔しそれを渡した。
そして代わりに、テレビのリモコンを受け取る。ちょうど『同情するなら金をくれ!』は終わっていて、入れ替わりに『僕ら! 歌って踊れる☆ミラクルボーイズ』が始まる時間となっていた。
私は隣田くんから借りた座布団の上に座った。隣田くんの部屋はジメジメしていて、天井の隅にはきのこが生えていた。
だが、久々にテレビの大画面でTwitter実況をしながら見るアニメは楽しく、私は幸せな気持ちになった。
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