奇跡の少女

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「どうしたんですか?若…」 「その子…若のお知り合いなんスか?」 (はた)から見れば、まるで桐生が少女を護るように腕の中に抱き込みながら互いに見つめ合っている、そんな思わず絵になってしまいそうな図に。 「いやー若もなかなかスミに置けないっスね」 なんて見当違いの冷やかしの声がどこからか上がった。 「馬鹿っ!そんなんじゃねぇって」 紅葉の様子を気にしながらも、聞き捨てならないそれに桐生は思わず反論した。 そんな桐生の様子を一番近くで見ていた門脇が、そっと横から声を掛けて来る。声を落としているのは、どこか様子のおかしい紅葉を気遣ってのことだ。流石にこの中で皆を纏めている年長者なだけあり、その行動は落ち着き払っている。 「…彼女、様子がおかしいですね。どうかしたんですか?」 「門脇…。いや、分かんねぇ。全然反応がねェんだ」 二人して紅葉を見下ろす。声を掛けても名を呼んでみても、じっ…と桐生を見上げているだけだった。だが、どこか目線が合っていないようにも見える。 そうしていると、まるで精巧につくられた美しい人形のようだった。今まで生き生きと動いていたことを思えば、まるで動きを止めてしまったアンドロイドか何かでもあるかのように。 思わず浮かんだ己の発想に桐生は心の内で苦笑を浮かべた。 (…ねェわ。どこのファンタジーだっつーの。こいつは紛れもなく如月だ。今朝も会った…) ただ、学校で見る彼女との大きなギャップが、何か特別な存在のように感じさせるのだろう。 すると、不意にその瞳が僅かに揺らいだと思った瞬間。突然ガクリ…と紅葉の膝が折れた。 「…っ!?おいっ!?」
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