奇跡の少女

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崩れ落ちるその身体を慌てて支える。元々腰部分を抱えていたので何とか取り落とさずに済んだ。 「如月っ?!」 顔を覗き込むと、先程まで開かれていた大きな瞳は伏せられていて長い睫毛が影を落としていた。 「おい…。いったい、何がどうなってんだ?」 訳が分からない。今まであんなに大暴れしていたというのに。 「…気を失ってるのか?」 (もともと具合が悪かったとか…) もしも、あいつらの攻撃を受けた際に何処かを打ったことが原因で…とかなのだとしたら大変なことになる。即、病院行きを考えなくてはならないだろう。 内心で慌てながらも、桐生はその身体を自分に寄りかからせるようにして、しっかりと横抱きに抱え直した。その間に隣で紅葉の様子を伺っていた門脇が呟いた。 「若。彼女、意識を失っている…というよりは、どうやら眠っているみたいですよ」 「ハァっ?!」 言われて落ち着いて注意深く見てみれば、確かに静かな規則正しい寝息を立てているようだった。 桐生は小さく安堵の息を漏らす。 「…ったく。驚かせんなよ…」 「この少女が例の探していた掃除屋、なんですか?」 「ああ、その筈なんだが…」 二人して、その寝顔を見つめる。 そこには、とてもじゃないが十数人の男たちをほぼ一人で叩きのめした屈強な人物には見えない、儚い少女の姿があった。 「まさか、コイツが掃除屋だったなんて…な…」 未だに信じられない。何かの冗談であって欲しい位だ。 「学校のお知り合い、ですか?」 「まあな…」 別に如月がそうだったからと言って、自分に不都合がある訳ではない。だが、やはりショックではないと言えば嘘になる。
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