奇跡の少女

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この場を引き揚げて行く皆にならい、桐生たちもゆっくりと後をついて歩き出す。 「それも、こんな綺麗な娘さんなら尚更だと思いますよ」 そう言いながらも門脇が重くないかとこちらを気にかけてくれる。それに「大丈夫だ」と頷いて応えながら会話を続ける。 「ま、こいつの場合。この時間にうろつくのは日常茶飯事になってそうだから、今更な感じもするけどな」 「確かに彼女が噂の掃除屋なら、そういうことになりますね」 最近の少なくともオレが知る限りで掃除屋が現れなかった日は、昨日を含め数日程度しかないのだから。 「でも、そうなると…。そこまで家のことは心配しなくても良いのかもな」 (オレ、こいつの家とか何も知らねぇし…) 連絡先さえ知らないのだから、実際どうすることも出来ない。 だが、うっかり捜索願なんかを出されたり、大ごとなって警察沙汰になることだけは避けたいので、何かしら対策は必要なのかも知れない。 「とりあえず、アイツに頼んでみるか」 桐生は隣を歩く門脇に紅葉を一旦預けると、スマホを取り出した。 翌朝。土曜日。 朝日が昇り始め、未だ間もない早い時刻。 「若。立花さまがお見えです」 そんな言葉と共に「おはようございます」と横からにこやかに現れた友人に桐生は「おう」と手を上げた。 「悪ィな、立花。こんな朝早くから…。昨日も忙しいとこ電話しちまって」 「いえ、全然大丈夫です。気にしないで下さい。それより、昨晩は大変でしたね」 そう言いながら立花が勧められるままに傍にあった座布団へと座ると、すぐに横からお茶が差し出され、立花は笑顔で「どうぞお構いなく」と会釈を返した。
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