奇跡の少女

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昨夜。 立花が桐生からの連絡を受けたのは、日付が変わる少し前のことだった。 『無事、掃除屋との接触を果たした』との報告に、今までの桐生の苦労を知っている身としては、それは嬉しいニュース以外の何ものでもなく。だが、何よりその正体に興味津々だった立花は、次に続いた桐生の言葉に暫く『?』を飛ばしていた。 「は?どういうことです?話が出来た訳じゃない…ということですか?」 接触を果たしたというからには、会話に持ち込むことが出来たのだと思っていたのだが。 『だから…。眠っちまって話どころじゃなかったんだって』 「…眠って……?」 いったい、どういう状況なのか。イマイチ掴めない。 『実は、アイツが現れる前に、くだらねぇ連中と余計な抗争が始まっちまってよ。奴ら勝てねぇと判ると途中から凶器を持ち出して来やがって。卑怯な手に苦戦してた所にアイツが加勢に入って来たんだ』 そう、どこか落ち着いた様子で話す桐生は、既に掃除屋という人物に心を許しているかのような話し方だ。その後、疲れ果てたのか気を失うように眠ってしまったと、まるで何でもないことのように普通に語っているのは何故なんだろう。違和感が拭えない。 「それじゃあ…彼女は…?」 『ああ、連れて帰ってウチで寝かせる』 平然と続いた言葉に。 「ええぇっ!?マジですかっ!?」 驚きで一杯になった。 (何でそんな流れにっ?幾ら話がしたいと言っても、そんな人物を家に連れて帰るなんてどうかしてる…) それに、彼の家は『普通の家』ではないのだから。 だが、ふと立花は冷静になった。そう言えば、彼女自身の話をまだ桐生の口から聞いていない。 …その正体を。
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