奇跡の少女

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「へぇ…幼馴染みねぇ。そんな奴がいんのか」 初めて聞く紅葉の身の上話に。 「それに、あいつ…。見掛けによらず苦労人なんだな」 桐生は腕を組むと小さく溜息を吐いた。 すると、横で一緒に話を聞いていた門脇が口を開いた。 「夜間母親が居ないのでしたら、普段から外出していることにも気付いていない可能性がありますね」 「あー、確かにそうだな」 それはそれで問題だとは思うが。 「実は今朝、早朝に帰って来た母親が娘の居ないことに気付き、探しに出ていたそうです。ですが、騒ぎになる前にその幼馴染みの子に連絡が取れたので、彼に上手く収めて貰いました」 「彼…ってことは幼馴染みのそいつ、男なのか」 ちょっと意外で、思わずそんな言葉が口からこぼれた。 「ええ。学年は違うんですが、実は俺も面識がある子なんですよ。それで彼女のことについて彼に少し話を聞いたんですが…。彼も母親も彼女が夜出歩いていることは前から認識していたらしいです」 「はぁっ?放任してたってのか?!」 その割に朝居なくて探しに出るというのは、いったい何を考えているのか。 次第に険しい表情に変わっていく桐生に。 「…そんな怖い顔しないで下さい。この話にはまだ続きがあるんですから」 と、立花が苦笑を浮かべて言った。 「別に怒ってる訳じゃねぇよ。所詮、他所(よそ)の家の話だしなっ」 そう言いながらも、気持ちを切り替えるように目の前のお茶へと手を伸ばす。同時に未だ手を付けてられていない立花のお茶に気付き、桐生は手振りで飲むように勧めた。 それを受けて立花は「いただきます」と小さく頭を下げると、二人してお茶をすすった。
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