奇跡の少女

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互いに一息つくと、再び会話を再開する。 「…で?続きってのは?」 「ええ。実は、彼女が夜な夜な出歩くようになったのは、幼少の頃からなんだそうです。それを母親も幼馴染みの子も知っていたそうです」 「はぁっ?いったい、どんな不良娘だよ?」 そんな小さな子どもが一人で夜の街を出歩くなんて話、聞いたこともない。っていうか、あり得ない。 「そりゃ幾ら何でも親の監督不行き届きってやつなんじゃねぇのか?」 「ええ。普通に考えたらそうですよね。確かに、そんな小さな子が夜一人で外に出て行けてしまうような環境を作ってしまうこと自体、親の責任問題だとは思います。でも、これはれっきとした病なんです」 「病?」 「その名も『睡眠時遊行症』」 「睡眠時…?ん…?それって…」 「はい。俗に『夢遊病』と言われているものです」 「夢遊病…」 その呟きに無言で頷いて返す立花。だが、そんな立花を前に何処か考える素振りを見せていた桐生が口を開いた。 「でも、まてよ。それも確かに夜の出歩きかも知れねぇが、今回のアイツのこととはまた別の話だろ?」 夢遊病と言えば、よく子どもが寝ぼけて動き回るっていうアレだ。きっと、誰だって一度くらいは経験したことがあるのではないか。 フラフラと起き出してきては、何をするでもなく戻って行ったり。会話をしたりしていても、翌朝本人に聞いてみると何も記憶になかったり。ままあることだ。 だが、立花は横に首を振った。 「それが同じなんです。それを聞いた時、俺もにわかには信じられませんでしたが…。少々特別なルートで彼女の診療記録等を入手したのですが、かなり重い症例に悩んでいたようです」
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