君のために出来ること

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「えーと…。それって、もしかして…?」 紅葉が戸惑いながらも救いを求めるように圭、立花、桐生の顔を順に見ると。 「もしかして、もしかしなくとも…」 立花が苦笑を浮かべながら桐生に視線を送る。それを受けて桐生が呆れた面持ちで頷いた。 「ウチのこと、だな」 (ああ、やっぱり…) 皆が互いに目くばせをして何やら苦笑いを浮かべている様子に、事情を知らない香帆が逆上した。 「ちょっと!何なのっ?カンジ悪いわねっ。嘘じゃないわよっ!?本当に本当のことなんだからっ。名前だって全部バレちゃってるんだからっ」 ムキになって声を上げたところで桐生が目を光らせた。 「…そうか。やっぱりアンタがこれを投函したんだな」 そう言って、どこからか小さな封筒を取り出した。 「なっ!?何でそれをっ?」 「?」 動揺しているらしい香帆に、それが何だか分からない紅葉は首を傾げた。圭も目を見張るようにその封筒を見つめている。 そんな紅葉たちに説明をするように桐生が口を開いた。 「これは、今朝ウチのポストに投函されていたものだ。これには、掃除屋が誰かとご丁寧に名前と住所まで記されていた」 「…え?」 紅葉が驚き、小さく声を上げる。 「今更、しらばっくれても無駄だぞ。今朝、怪しい人物が組の前をうろついている様子も、そいつがポストにこれを入れる所も、しっかりカメラに撮られているだろうからな」 未だに事情をよく呑み込めていない香帆に立花が補足するように説明を入れた。 「キミが言う『ヤクザ』って松竹組のことだろう?実は、そこは桐生さんの実家なんだ。桐生さんは、松竹組の跡継ぎなんだよ」 「あ…っ…」 その衝撃の事実に。香帆は今度こそ何も言えずに固まってしまうのだった。
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