エピローグという名の日常

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「好きな…きもち…?」 呆然と呟く紅葉に、圭は「うん」と小さく頷いた。 「今回のことで、もっとちゃんと自分の想いを言葉にしないと駄目なんだなって痛感した。今までは…僕と紅葉の関係は、余程のことがない限り現状が変わることはないと思っていたんだ。良い意味でも悪い意味でも」 「…悪い意味も、あるの?」 紅葉が不安気に聞き返すと、圭は眉を下げて笑った。 「そうだね、僕にとっては…だけどね」 「圭ちゃんに、とって?」 「良い意味では幼馴染みであり、家が隣同士で、まるで兄妹みたいな今の関係が続くということ。でも、逆に悪い意味では…それ以上の関係にはなれないということ、かな」 「圭ちゃん…」 「僕はずっと…紅葉のことが好きだったんだ」 「……っ…」 さらっと大事なことを言われて、その意味を頭で理解するのと同時に一気に頬へと熱が集中する。そんな紅葉を真っ直ぐに見つめながらも圭は続けた。 「でも、僕は紅葉と一緒に過ごせる時間が少なからずある今の、この現状を手放すことだけはしたくなかった。下手に想いを伝えて紅葉に嫌われてしまったら今の関係さえ壊れてしまうかも知れない。そう考えたら、特に進展を急ぐ必要なんてないんじゃないかって思っていたんだ。でも…」 一旦、区切って息をつくと。圭は再び口を開いた。 「本当は、今のこの関係さえ維持出来る確証なんて何処にもないんだってことに気付いた。桐生さんと笑い合ってる紅葉を見掛ける度に、いつだっていたたまれない気持ちになったよ。自分は何も想いを口に出来なかった癖に、一丁前に嫉妬したんだ」 「圭ちゃん…」
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